風のひょう吉、歩き出す
2021-01-18


禺画像]
このブログを始めるにあたって、スクリーンネームをどうするかという関門があった。
 最初は、本名でいこうかとおもった。だが、何だか芸のないような気がしないでもない。
 あれこれ思案しているうちに、手元にあった井伏鱒二の随筆集「早稲田の森」が目に入り、そこから同窓の尾崎士郎が書いたベストセラー「人生劇場」の主人公・青成瓢吉の名前が浮かんだ。
 「人生劇場」は大学の第二校歌でもある。そのなかの口上に「昨日も聞いた、今日も出た。早稲田の杜に青成瓢吉の出るという……」という一節があったことを思い出した。
 ひょうきち。ひょうたんから駒。千成りひょうたん。
 いまどきのキラキラネームにはない、とぼけたような、まじめなような、なんとなくいいことがありそうな味がある。
 だったら、その頭に「風の」の文字をつけて、「風のひょう吉」としたら、もっと気楽になれそうだ。転勤族の家に生まれて、故郷のないぼくには、根無し草のように流れて行く「風の」という感覚もしっくりくる。
 そういうわけで、スクリーンネームは「風のひょう吉」にした。
 これから何を書くやら、どこをふらつくやら、自分にもわからない。だが、勝手気ままな「風のひょう吉」は、すでにもうひとりのぼくが歩き始めたような気分である。

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