だれにも気づかれないように
2025-05-20


禺画像]
きれいな山や川、海が近くないと、たのしく生きて行けないなぁ、とおもう。
 ようやく強めの抗がん剤の副作用がおさまって、からだが回復期にはいった。頭はふらふらしているが、こうしてパソコンで、のんびり文章をつづれるのがうれしい。
 3種類の点滴が3日間つづく週はきつい。翌週はだんだん元気になる。その次の週にまた点滴。山から谷、谷から山、そして、また谷へ。どうやらこのペースが体調の変化の流れになりそうだ。
 先の日曜日の午後4時過ぎ、カミさんと室見川を少し上流の方まで散歩した。
 ずっと気になっている樹木を見たかった。「たぶん……」と予想して、ズボンのポケットにビニール袋を入れていた。
 狙いは的中した。
 高さ10メートルほどのおおきな桑の木(山桑と同じ)の細い枝先に、数えきれないくらい実がついている。
 手の届く枝先から黒く完熟したちいさな実をちぎって、口のなかに放り込む。
 甘い。おいしい。カミさんも同じことをした。上の方では繁った葉っぱに隠れて、スズメたちが飛びまわっている。
 まるで宝物を見つけたような気分である。ところが、こんなにいっぱいの桑の実がすぐ目の前にあるのに、散歩をしている人、ジョギング中の人、自転車に乗っている人たちはだれも見向きもしない。
「採っているところを見られないようにしなくちゃね」
「そうだな。気がつかれたら、いっぺんに採られて、無くなってしまうからな」
「そうよ」
 なんともあさましい夫婦の会話に堕ちてしまったが、いまから次々に熟すのだから、もっと旬の果実を食べたいではないか。
 この桑の木は自生して、ここまで大きくなったもの。室見川の環境がこんな恵みをくれている。
 健康のためにも、また歩いて行ってみよう。きれいな川が近くにあってよかった。
 この日、長男がお嫁さんと1歳4か月になる孫のKo君を連れて、このへんで遊ばせるためにやってきた。つい先日も家族で室見川の広場にきたという。
 きっと息子も、子どものころのたのしい思い出があるのだろう。これからは彼の出番である。

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